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a-blog cmsを長期使用したユーザーに対する観察

個人的メモ。

cmsを使って更新する人は、もしかすると何年も同じ管理画面を使います。
そうした中で、効率化のために管理画面の最適化を依頼されることはあります。
しかし、納品時の管理画面をそのまま「そういうもの」として受け入れてしまう場合もあります。

そこで、たとえば「cmsを5年間運用してみて更新ユーザーがどう感じるのか?」という見方があると良いなと思いました。

更新ユーザーがどう感じるのか?


時間軸 ユーザーの認識
cmsの導入を検討中 使いやすそう。
直感的に操作できそうだ。
プロトタイピング 問題なく更新できる。
納品時 実際に更新してみて、使いやすいと感じた。
5年間、運用した時 ???

この表における「???」を、より良くするにはどうすれば良いか。
答えを出したいなぁと思います。


納品時には気を遣うけど


プロトタイピングをすると、ある程度は実際の運用が想定できます。
実データで更新してもらったりすれば、特に。

しか運用し始めると、更新ユーザーさんの行動が変化することもあります。
担当者さんなりの「やり方」が最適化されるからでしょう。
そのため、ユーザーが熟練者(エキスパート)になることで、求められる要望が変化してきます。


どういう案件の場合を想定している考えるか


ざっくり、ページのカスタムフィールドが多く、量産する必要がある案件について考えてみます。
たとえば下記のような。

  • 商品カタログ的なコンテンツがあり、量が多い案件
  • 不動産物件で、流通物件を多く登録する案件
  • 人材派遣会社の仕事情報のような案件

これらは、ユーザーさんがcmsを使う時間が長くなります。
だから、もしも入力時間を30%短縮できれば、年間の仕事時間を相当カットできます。
その上「サクサクできる!」っていう満足感の中で、数年間使っていただけます。


熟練ユーザーへのユーザー評価


納品6ヶ月後、あるいは100件以上の入力をしてもらったあと・・・くらいを目安にユーザー評価を行います。
15〜30分くらい「いつもの更新」を観察します。

  • 考えてること声にだしてもらう
  • どういう手順で操作するか、画面の後ろから見る
  • なぜいま、そういう操作したんですか?とか聞く

プロトコル分析をもとにしていますが、そこまでちゃんとしてません。
どれだけ時間・お金を投入するかは予算と現場次第になります。

しかし、僕がユーザー評価について「いいじゃん!」と思うポイントは、どのくらい時間をかけるかとは別のところにあります。
仮に15分程度であってもやる意味が大きいと感じます。
極端な話、制作サイドの誰か(Webデザイナーでも、ディレクターでも)が、熟練ユーザーの更新を無言で眺めるだけでも、得るものが多くあります。


NE比を計測して定量的に評価する方法は、可能なら最適だと思う


なぜなら定量的に計測すると、改善効果が分かりやすいからです。
また、例えば入力時間を20%短縮するレベルの改善は可能な場合があるので、そういった数値を結果として残すのは意味があると思います。
状況に応じて、NE比でも良いし、リニューアル前後の比でも良いと思います。


熟練ユーザーの観察で、ありがちな気づき


入力順が納品時と変わっている


更新ユーザーさんにとって、理想的な入力順が確立されてます。
多くの場合で、それは納品時における画面設計とは一致していません。
その結果、エントリー作成画面を何度かスクロールしていて、見るからに使いづらそうです。

そういうわけで、入力順に対応した並びのエントリー作成画面に変更すると良いです。

なお、納品時は誰しも初心者ユーザーなので、表示側の並び順と同じだと理解しやすいでしょう。
だから、初心者と熟練者がまざる環境では配慮が必要になります。


初期値がミスマッチ


まず、プロトタイピングしてみて「ここは初期値いれときましょう」みたいな話になります。
しかし、運用してみると「初期値を入れた項目が、選択頻度の低い項目になってた」場合があります。
これは・・・なぜなんだぜ?

ともあれ、初期値の最適化を行うと良いです。
場合によっては、初期値の設定をユーザー自身が好きなタイミングで行える機能を付けると良いです。

↓参考
エントリーのカスタムフィールドに、ユーザー自身が初期値を設定できる



プルダウンじゃなくてラジオボタンの方が良い箇所がある


ラジオボタンの方が、プルダウンより速いです。
よっぽど数が多い場合、増える場合はプルダウンが良いです。
しかし、選択肢が増える想定だったのに、増えていないとかあります。

そういうわけで、プルダウン→ラジオボタンの最適化をすると良いです。


管理画面の情報設計に改善の余地がある


なんか間延びしてる、無駄な空白が多い・・・なんてことあります。
1画面にまとまってたら、画面スクロールしなくていいのにって場合もあります。

ふつうにレイアウトを工夫すると良いです。
でもこれは、初心者ユーザーにとっては「適度な隙間があって入力しやすそう」だった画面が、熟練ユーザーさんにとっては「なんか間延びしててイライラする」に変わったりしてる可能性もあります。


管理画面と、コピペ元データの画面を何度も行き来している


Web業界では「ふつう」のアドバイスでも、大きく改善できることがあります。
本筋とそれますが。
「デュアルディスプレイにしたほうが絶対いいですよ!」と提案したり、コピペ元データのまとめ方からアドバイスするのは効果的です。


どうしてそんな操作を?ってこと、けっこうある


なぜ今、そうしたのですか?とユーザー評価で聴けると、良い改善に繋がります。
ユーザーなりの合理的な理由があるからです。


cmsを熟練者(エキスパート)用に変更していいかは案件次第


更新担当者さんが1年ごとに替わるなら、ずっとノービス向けに最適化したままの方が良いです。
cmsの存在意義はそういうところにありますし、数としてはその方が多いのかもしれません。

一方、ずっと同じ担当者さんの場合はある程度思い切って熟練者用にカスタマイズしてもいいと思います。
その場合もノービス向けに戻せるようにはしとくといいですね。
(切り替え機能は作ったことないけど、必要なら良いかもしれない・・・)


エキスパート向け管理画面の効果


  • 更新スピードのアップ
  • 疲れない
  • 文章の質が上がる

だいたいこんな効果があると思います。


更新スピードのアップ


更新速度は絶対速くできます。
半分にするのはムリかもですが、3割減らすレベルなら可能だと思います。


疲れない


サクサクになって初めて「納品時の管理画面は、だるかったんだな」と気づいたりします。
無駄な仕事はないなら無い方がいいです。


文章の質が上がる


定量的ではないので、本当は謎ですが、文章が良くなります。
思考順になっていると、書きやすくなるからでしょうか。

たとえば物件情報の入力で、特長を入力しながら考えて書くとします。
最適な並びで入力すると、思考の流れをスムーズにできるので、何が特長になるのか整理しながらページ入力できます。
今までは特長の入力欄で「う〜んと・・・」と悩んでたのが、サクッと、しかも良い感じで書けたりします。


こうなったらいいな


時間軸 ユーザーの認識
cmsの導入を検討中 使いやすそう。
直感的に操作できそうだ。
プロトタイピング 問題なく更新できる。
納品時 実際に更新してみて、使いやすいと感じた。
5年間、運用した時

私の思い通りに最適化してくれてる。
帰宅時間が早くなった。
ミスしづらいし、疲れなくなった。

そういうわけで、納品後6ヶ月でユーザー評価して、その後のcms体験をよくしていこう!というメモでした。


投稿者名 すずきカレー 投稿日時 2017年12月08日 | Permalink